2013年3月30日土曜日

安倍首相、30日からモンゴル訪問――資源獲得目指す

 
 安倍晋三首相は3月30-31日、モンゴルを訪問する。滞在中はエルベクドルジ大統領やアルタンホヤグ首相などと会談し、日・モンゴル二国間関係と地域・国 際情勢について意見交換を行う。世界最大級の埋蔵量とされるタバントルゴイ炭鉱の開発やEPA(経済連携協定)交渉を進める。日本の首相がモンゴルを訪れ るのは06年の小泉純一郎首相以来。

<投資を呼び込みたいモンゴル、資源を確保したい日本>

 モンゴルの12年実質GDP(国内総生産)成長率は前年比12.3%増(速報値)で、名目GDPは13兆9442億トゥグルク(約9300億円)。輸出 は9割が中国向け、輸入もロシア・中国合計で5割を超す。モンゴルは1990年の民主化後、市場経済化に向けた構造改革を行い1994年に初めてプラス成 長に転換。09年はリーマン・ショックの影響を受けマイナス成長に転落するが、金、銅、石炭、ウラン、レアメタル・レアアースなど鉱物資源の本格開発や輸 出産品の国際相場の上昇と内需拡大により順調に回復し、10年6.4%、11年17.5%、12年12.3%という世界有数の経済成長を続けている。

 ただ、モンゴルの成長を支える鉱物資源は資源ポテンシャルの期待値こそ高いが、輸送、関連インフラ整備が進んでいない点は大きな課題だ。また、近年際 立って貧富の差が拡大しており、若年層の失業率は高い。首都ウランバートルへの一極集中、草地劣化・森林減少による砂漠の拡大といった環境問題など課題は 山積しており、モンゴル側は安倍首相来訪を機に何としても日本からの投資を引き出したいところだろう。逆に日本側は豊富な石炭、ウラン、レアメタルといっ た資源を確保出来るかがポイントになる。 

<長期低落傾向続くモンゴル株>

 モンゴルには1991年設立のモンゴル証券取引所(MSE)が あり、代表的指数はモンゴルトップ20指数。上場企業数は12年3月時点で332。代表的銘柄は資源関連のシベオボ<SHV>、タワントルゴイ <TTL>、バガヌール<BAN>、シャリンゴル、飲料大手APU<APU>、通信大手モンゴルテレコム<MCH>、大手証券会社BDSEC<BDS>な ど。外国人投資家への規制はほとんどなく、国内投資家とほぼ同条件で投資できる。また、BDSECはBDS指数という独自の指数を公表している他、日本語 のウェブページを開設しモンゴル株への積極的に投資を呼びかけている。

 モンゴルトップ20指数はリーマン・ショック後、5000を割り込む展開が続いていたが09年8月以降は高い経済成長率を背景に急反転。11年3月には 3万3000近くまで上昇した。もっともその後は下落傾向が止まらず、3月27日終値は1万5591.03と2年前の半値以下。高い経済成長が続いている のとは対照的な株価となっている。昨年6月に行なわれた総選挙で野党だった民主党が第1党となり与党・人民党は大敗を喫したが、モンゴルでは政権が変わる ごとに政策が変更する傾向がある。こうしたことが外国人投資家に不信感を持たれている可能性は否定し切れない。
(宮尾克弥)

http://www.emeye.jp/disp/OEA/2013/0327/stockname_0327_020/0/

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